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2023/3/10

【永田 和宏|歌人/宮中歌会始選者/JT生命誌研究館館長】

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  七五会員様向けの特別企画として、文化の継承や創造に関わる方々と理事長・近衞忠大との対談「語らひ人」をスタートいたしました。「語らひ人」のトークから、会員の皆さまのお仕事やプライベートにおいて、何らかの気づきやヒントを見出して頂けましたら幸甚です。

 第3回目の今回は、宮中歌会始(以後、歌会始)や朝日歌壇の選者を務める歌人・永田和宏先生をお招きしました。実は、NPO法人七五・近衞理事長も、講師( ※1)として関わる歌会始。対談の日は令和5年歌会始前日でした。白熱したお二人の和歌談義をお楽しみください。

※1 講師(こうじ)は、節を付けずに全句を読む役。歌会始は、この他にも、司会役の読司(どくじ)、第一句から節をつけて詠じる発声、第二句以下を発声に合わせて詠じる講頌(こうしょう)などの諸役が進行する。

目次

1.選者のお仕事

2.若者による和歌

3.和歌と現代短歌

4.歌会始の意義

5.耳で聴く短歌

6.歌との出会い

7.科学者と歌人の両立

8.海外で気づいた伝統の大切さ

9.天皇陛下と和歌

10.次世代に繋ぐ

11.現代短歌に対する希望と危機意識

12.和歌をユネスコ無形文化遺産に

13.残っていることの意味

14.日本語の美しさ

選者のお仕事

 

近衞:改めて今日はよろしくお願いします。始めに、永田先生と歌会始のご縁についてお聞かせください。

 

永田:歌会始に関わり始めてから、今年で20年になります。ある日、岡野弘彦さんからお声が掛かって。その時のメンバーは岡井隆さん、安永蕗子さん、島田修二さん。一番若い岡井さんと島田さんは昭和3年生まれで、僕より19歳上です。なんで自分がこんなところに紛れ込むんだと思いましたけどね(笑)。ただ、岡野さんは本当に色々お世話になった方でもあって、尊敬できる歌人でもあるんで、お引き受けすることにしたんです。

近衞:選者として参列された最初の歌会始が平成16年(2004年)ということは、前年の9月には3万首ほど集まるわけですよね。それに全部目を通すのはさすがに難しいですよね?

 

永田:それが、全部目を通すんです(笑)。毛筆で書かれた短歌を宮内庁が全て活字にして、それを我々に送って来ます。一度に3,000首ずつ見て丸を付けて送り返す。何回かに分かれて来たものをそれぞれの選者が送り返して、500〜1,000首になって。それをまた全員に戻して、今度その中から最終20首くらいに丸を付けて送り返すと。そうすると大体、全体で100首余り残るので、最後は選者全員が宮内庁に集まって選びます。

 

近衞:なるほど。じゃあ正味何ヶ月くらい......。9月の終わりくらいに締め切りですよね。

 

永田:そうですね。ただもっと早くから集まるので、7月くらいから始まります。

 

近衞:毎年半年くらいにわたって......。恐れ入ります。

 

永田:でも、今では朝日歌壇の選者もしていて、そちらが毎週約2,500首あります。多分歌壇の中で一番たくさん歌を見ていると思っていて。年間20数万首くらいですかね。

 

近衞:20数万首。それはすごい量ですね。

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